就労支援B型から一般就労へ――居心地のよさとチャレンジできる環境が自立への道をサポートしてくれた

SOU WORKSうるま兼箇段 城間篤人さん

就労支援B型事業所から一般就労に移行するのはかなり難しいとされるが、城間篤人さんは入所1年半でSOU WORKSのアルバイトになった。利用者のときに自らの提案で始めた勉強会を起点に、バイトとして力を発揮する城間さんに、入所から一般就労で活躍するまでの経緯や想いを聞いた。

「SOU WORKSはすごい自由」これなら気軽にやれるかもしれないと入所

城間さんはSOU WORKSうるま兼箇段で利用者からバイトとして一般就労に移ったそうですね。
城間さんはSOU WORKSうるま兼箇段で利用者からバイトとして一般就労に移ったそうですね。

2023年10月から1年半くらい利用者としてSOU WORKSに通って、2025年2月から一般就労に移りました。今はバイトとして週5日、10:00から16:00まで働いています。

そもそも利用者としてSOU WORKSに来る前は何をしていたのですか?
そもそも利用者としてSOU WORKSに来る前は何をしていたのですか?

僕は沖縄出身ですが、10年くらい内地のSierで働いていました。ただパワハラ傾向のある上司に当たってしまって「いくらでも代わりがいる」とか「雇わなければよかった」とか言われるうちに体調を崩してしまって。うつと診断されて2年くらい傷病手当をもらって療養していました。そのうち、家族から「沖縄に戻ってこないか」と言われて帰ってきたんですが、だんだん体力も戻ってきたので就労準備を始めようということで就労継続支援B型事業所を探し始めました。

やはりSierにいらっしゃったからパソコン関係で探されたのですか?
やはりSierにいらっしゃったからパソコン関係で探されたのですか?

パソコンには嫌な思い出があったので、最初は関係ない作業系のところを探していました。でもやっぱり経験を活かす方向を勧められて、SOU WORKSうるま兼箇段の見学に来ました。

見学してみていかがでしたか?
見学してみていかがでしたか?

すごい自由だなと思いました。見学に来たとき、ちょうどヨガの得意な職員さんの指導で、全員で床に寝っ転がってヨガの練習をやってたんですよ。体調を整えましょうって(笑)それを見て「これなら気軽にやれるのかもしれない」と思って、それが決め手で入所を決めました。

得意を活かして勉強会開催を提案!コミュニケーションがとれるようになった

利用者として通い始めてからは、どんな作業をしていたのですか?
利用者として通い始めてからは、どんな作業をしていたのですか?

しばらくはデータ入力や動画編集をしていました。通っているうちに、利用者さんの中もいろんな特技を持つ人がいることに気づきました。例えば、漫画がすごく上手いとか。それで「勉強会を開けないかな」と職員さんに提案したんです。

城間さんから提案したんですね。
城間さんから提案したんですね。

はい。提案したからにはまず自分がやらなきゃねってことで、経験があったパソコンの勉強会の準備を始めました。実は、僕はそれまではSOU WORKSに来ても黙りこくっててあまりなじめてなかったんですが、勉強会準備をするなかでほかの利用者さんにアドバイスをもらったりするようになって「コミュニケーションにとてもいいな」と思うようになりました。それで、人に教えるというより自分のコミュニケーションの機会をつくるために勉強会をどんどん開こう!とやり始めました。

勉強会ではどんな内容を取り上げたのですか?
勉強会ではどんな内容を取り上げたのですか?

最初にhtmlといってホームページをつくるプログラムから始めました。朝「今日参加する人?」みたいな感じでみんなに聞いてみて、手を挙げた人たちの分だけ資料を用意して、僕が説明しながらやりました。ほかのことをやりたいけど資料だけほしいという人には資料だけ渡したり、休んでいたけど気になるという人には個別に勉強会をやったりもしました。

SOU WORKSうるま兼箇段は、城間さんにように利用者さんの提案もやらせてもらえるんでしょうか?
SOU WORKSうるま兼箇段は、城間さんにように利用者さんの提案もやらせてもらえるんでしょうか?

「こういう理由でこういうことをやりたいです」と言ったら、極力叶えられるように動いてくれます。基本的には、それぞれ自分の好きなことを自由にやっている人が多いですが、やりたいと言えばやらせてもらえます。僕も、物語をつくるのが得意な利用者さんと「2人でゲームつくれるとおもしろいね」と言って許可をもらって、実際にゲームをつくって動かしてみたこともあります。

勉強会をやるようになって、城間さん自身は変わりましたか?
勉強会をやるようになって、城間さん自身は変わりましたか?

通い始めた当初からは考えられないくらいコミュニケーションがとれるようになりました。気の合う人とずっとおしゃべりしたり、「こんなゲームつくってるんだけどどうかな」と意見をもらったり、勉強会のアイディアをもらったり。楽しいです。

「もう少しここに居させてもらいながら働き始められる」SOU WORKSで一般就労へ

そこからどのような経緯で一般就労に移ることになったのですか?
そこからどのような経緯で一般就労に移ることになったのですか?

SOU WORKSとしてホームページ制作の依頼を受けたときに「私ならこのくらい」と単価や工数の話をしていたんですが、話していく中で「勉強会を1回いくらでSOU WORKSの外部に展開できたらおもしろいね」みたいな話になりまして。そんな中で管理者の方から「バイトとしてやってみない?」という話をいただきました。

声をかけてもらっていかがでしたか?
声をかけてもらっていかがでしたか?

僕は昔からゲームをつくって販売したいと思っていたんですが、バイトの打診をいただいたのは、体力が戻ってきてこれから動けるかもしれないというタイミングでした。ただ自分が働くために動き始めたら、就労支援B型事業所はもう使えなくなります。それはやっぱり少し不安で、この場所にもう少し居させてもらいながら、バイトっていう形だったら自分も動けるぞって。利用者さんのためにも動けるぞって思って、一般就労に移らせてもらいました。

バイトとしてはどのようなことをされていますか?
バイトとしてはどのようなことをされていますか?

勉強会の回数を週1回から2回に増やしたのと、クラウドソーシングのランサーズで外部から仕事をとってきて生産活動につなげるといったこともしています。

勉強会、増やしたんですね。
勉強会、増やしたんですね。

あれやりたい、これもやってみたいっていろいろアイディアが浮かぶ中で、今までの2倍やれるようになったので楽しいです。利用者だったときはコミュニケーション重視だったので自分の好みでやっていたんですけど、今はエクセルやAIなど利用者さんの就職に役立つテーマを選ぶようにしています。

エクセルからAIとは幅広いですね。
エクセルからAIとは幅広いですね。

自分がまず勉強して、それを資料にまとめて、棚卸ししてみんなに伝えるみたいな流れです。SOU WORKSは「まず居場所になるように」というのを重視しているので、「勉強会をやるから参加してほしい」じゃなくて、「あ、勉強会あるんだ。やってみよう」くらいの位置づけでいるといいのかなと今は考えています。

こんなにチャレンジさせてくれるところはめったにないから、みんなSOU WORKSに来た方がいい

利用者から一般就労になって不安に思っていることはありますか?
利用者から一般就労になって不安に思っていることはありますか?

「仕事としてやれているのかな」というのがちょっと不安です。昔はIT業界にいたので、いつまでに仕事を終わらせるというノルマに追われていました。それが今は追われていないので、なんかふわふわした感じで、そこにちょっと慣れていないのかなと感じています。

ご自身がやりたかったことはできていますか?
ご自身がやりたかったことはできていますか?

まだ体調を管理しながら勉強会の準備をしたりするのが精一杯なのが実情です。でも、こういう環境に身を置かせてもらっていること自体がとてもありがたくて、幸運だなと思っています。

利用者からバイトに移った城間さんから見て、SOU WORKSはどんな事業所ですか?
利用者からバイトに移った城間さんから見て、SOU WORKSはどんな事業所ですか?

利用者さんを一人にさせないように気を配っているという印象を受けています。ふだん一人で静かに作業をしている人には送迎のときに話しかけたり、さりげなく作業をしている利用者さんの隣に座って話しかけたり。僕は目線が狭くなりがちな方なのでまだあまり周囲を見れていないんですけど、ほかの職員さんたちはよく見ているなと思います。

SOU WORKSうるま兼箇段のいいところを教えてください。

やっぱりチャレンジさせてもらえるのは非常に嬉しいですよね。決まった作業だけじゃなくて、やりたいことを「こういうメリットがあるからやらせてください」と言えば「いいよ、やってみよう」みたいになってやってみる。そしたら意外と参加してくれる人も多かったりして、いろんな会話が生まれたりする。挑戦する人を、ちゃんと検討して受け入れてくれる、チャレンジさせてもらえるのが一番いいところかなと思います。

SOU WORKSうるま兼箇段に通ったら、いろんなことにチャレンジできそうですね。
SOU WORKSうるま兼箇段に通ったら、いろんなことにチャレンジできそうですね。

こんなにチャレンジさせてくれるところはめったにないから、みんな入所したらいいよ!と思います。やりたいことを実現できるように寄り添ってくれるので、まだ何がやりたいのかわからないという人もまずは足を踏み入れたらいいかな。SOU WORKSに入ったら、みんなでやりたいことを探して、最終的になにか見つかるかもしれません。

城間さんも、これからさらにやりたいことを実現できるといいですね!
城間さんも、これからさらにやりたいことを実現できるといいですね!

そうですね、まずはバイトで体力を使い切らないようにして、家でも自分のやりたいことをやって、それをさらに勉強会に持ってこれるようになろうと思います。自分の生活も含めて輪ができ上がると勉強会もどんどん充実していくのかなと、自分自身に期待しています!

インタビューを終えて

城間さん自身の勉強会への熱意と努力に、チャレンジする人に寄り添って応援するSOU WORKSうるま兼箇段の取り組みが相まって、就労継続支援B型から一般就労への道が拓けたことがよくわかった。まずは居心地のよさを大切に、次にやりたいことを一緒に実現していくSOU WORKSうるま兼箇段に出会えたからこそ、今の城間さんがある。城間さんが無理せず、でもやりたいことに向かってしっかりと歩んでいく未来が楽しみだ。